八重山日記 ＜2020年04月22日 ＣＯＶＩＤ－１９のＰＣＲ感度＞
緊急事態宣言後の自粛の成果は残念ながらまだ出ていません。 逆に日に日に、新型コロナウィルス感染症(ＣＯＶＩＤ－１９)が身近にひたひたと忍び寄って来ているのを感じます。 ＴＶやＮＥＴのニュースだけではなく、私の場合、社内の身近な方々が風邪の症状によりＰＣＲ検査を受けたり、感染者との接触が分かり自宅自主待機をしたり、会社支店の入っているテナントビルで感染者が出て消毒がされたり・・・、等々が始まりました。
有効なワクチンが出来て、接種が行き渡り、人口の６０～７０％がこのウィルスに対する抗体を持つまで、何とか日本はオーバーシュート(爆発的感染拡大)を抑え、医療崩壊を防ぎ、大切な命を守らなくてはなりません。 私は６８.９才で、持病も無い訳ではないので正に自分事です。
ＰＣＲ検査の感度(検査で陽性を正しく判別出来る精度)が低いことは、ダイヤモンドプリンセス号の新型コロナ感染発生当初からＴＶで報じられていますが、今でもほとんどの報道人と人々が検査結果ありき(精度１００％)と思っている様に感じます。 その誤解は危険生むことが有ります。
条件に左右されますが、ＰＣＲの感度(感染者を陽性と判定出来る率)は７０％位とのことです。 つまり、ＰＣＲ検査を感染者１０人にしたら３人が陽性なのに陰性とされてしまい、もしＰＣＲ検査結果だけを信じて対応したとしたら、その３人の偽陰性の方々は感染しているのに普通に街を出歩いてしまうことになります。
ダイアモンドプリンセス号で感染が発生→横浜入港時乗客乗員数は約３７００名で最終感染判明者は約７００名でした。 もし入港後早期に全員ＰＣＲ検査を実施出来てＰＣＲで陰性と判定された方を即時帰宅させたとしたら、７００名の３０％の最大２１０名の偽陰性の方が、日本へ世界へ散らばって行ったことになっていた訳です。(最大とはＰＣＲ検査が早い程、感染者数が減るので偽陰性数も減るという意味です) これは、大変な結末を生んだでしょう。
ですからもしＰＣＲ検査を即時乗客乗員全員に出来たとしても、感染判明者は病院へ感染判明者以外全員を２週間船内に留め置く措置が必要だったのです。(船外隔離施設をすぐに全員分用意出来なかった訳ですから)
また、ＰＣＲの特異度(非感染者を陰性と判定出来る率)は感度(感染者を陽性と判定出来る率)よりも高いものの、１００％はあり得ないとのことです。 つまり感染していないのに陽性と判定されてしまう、この偽陽性の方々は一定期間隔離等を余儀なくされる訳です。
特異度を仮に９９％とした時、ダイアモンドプリンセス号で感染が発生→横浜入港時乗客乗員数約３７００名･最終感染者判明者約７００名･非感染者約３０００名で入港即時全員ＰＣＲ検査したとした時、偽陽性となった方は３０００名の１％の最少３０名となります。(最少とはＰＣＲ検査が早い程非感染者の人数は多いので偽陽性数も増えるという意味です)
ダイヤモンドプリンセス号の場合ほぼ全員を１４日隔離観察したのでこの偽陽性３０名の処遇は多分同じでしたが、巷の方々に広くＰＣＲをした時は必要の無かった隔離生活を送る等の不利益を多々受ける偽陽性の方が出てしまう訳です。 それだけでは有りません。 この偽陽性の方が無症状で自分は免疫を獲得したと勘違いして、ワクチン接種をしなかったとしたら、悲劇が起きる可能性も出てきます。
つまり、的確な判断を専門家に求めてＰＣＲ検査を受けるか否かを決め、ＰＣＲ検査以外の所見と合わせて専門病院で総合判断して頂く今の体制が必要なのでしょう。 検疫体制･医療体制が崩壊しないことを祈るばかりです・・・。
何時、自分がＰＣＲ検査を受ける様になるか分からない今、偽陰性や偽陽性が出ることを知り、検査結果を受けた時の自分自身の行動や、周りの方々との接し方をシュミレーションしておかなくてはと思うのです。 またニュースやＴＶの見方を気を付けなくてはなくてはならないと思うのです。
もっと具体的に言うと、何らかのリスクが判明してPCR検査受けた時、陰性の結果が出ても３０％は偽陰性の可能性があるのですから、家族や他の方々の接触に注意を怠らない様にしなくてはということ。
また、陽性の結果が出ても確率は低いものの偽陽性の可能性も有るのですから、自分は免疫を獲得したと勝手に信じない様にしなくてはということです。
抗体検査のニュースも入る様になってきました。 この抗体検査の感度も疑問視する記事が有ります。 ニューヨークやヨーロッパの様な感染激増済地域で免疫獲得者の％把握に使うのには有効と思いますが、個々人のワクチンの接種要不要の判断に使えるか否か？ 抗体検査今後の評価に注視して正しい活用をして行きたいものです。
比較的分かり易い、ＪＣＥＲの馬場先生のＨＰを是非ご精読下さい。↓
